当社は、気候変動問題を事業に影響をもたらす経営課題の1つと捉え、気候変動対策に取り組んでいます。
当社では、2022年6月よりTCFD(※)の提言に沿った気候変動の情報を開示しています。
※TCFD:G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び、金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、マイケル・ブルームバーグ氏を委員長として設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」を指します。
ガバナンス
- 当社はESG経営の推進を重要施策に掲げており、ESG委員会を取締役会から独立した任意の諮問委員会として設置しております。
- ESG委員会は代表取締役専務取締役が委員長を務め、子会社役員、ESG推進会議議長、グループ経営企画部長、委員長の指名を受けた者等で構成されております。
- ESG委員会は気候変動に係るリスクと機会を含むESG戦略について決定し、ESG推進会議より定期的に(年2回以上)取締役会に答申/報告のうえ、リスク管理を行っています。
- なお、ESG推進体制の詳細は以下の通りです。
ESG推進体制
戦略
気候変動における当社の事業リスクと機会は以下の通りです。
リスク
移行リスク |
政策 |
気候変動による予期せぬパンデミックに加え、少子高齢社会による医療財政圧迫による想定を上回る薬価引き下げ等がおこるリスク |
市場 |
気候変動により原材料高騰が物価上昇を引き起こし、患者の生活費が逼迫することで受診抑制がおこるリスク |
評判 |
気候変動対策の遅れによるステークホルダーからの懸念の増加 |
物理的リスク |
慢性 |
気候変動による製造原価上昇等、営業費用が増加するリスク |
急性 |
異常気象に起因する災害によるサプライチェーンが寸断されるリスク |
機会
機会 |
- 気候変動に伴う疾病増加や消費者選好の変化に対する競争力の強化が製品需要拡大につながる
- 気候変動リスクへの積極的取り組みにより、経営上の持続可能性が高まるとともにステークホルダー評価が高まり、株価上昇の機会につながる
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- リスクについては、現時点では長期的に大規模な投資を必要としうる重大な気候関連リスク等は確認しておりませんが、業界内で連携を綿密にとりながら丁寧に対応策を検討致してまいります。
- 機会については、気温上昇などによる特定の疾病の流行といった事業機会は考えられるものの、現時点での弊社パイプライン上、事業機会に大きく影響する項目は、確認しておりません。しかしながら、あらゆる気候変動が人体に及ぼす影響について、弊社パイプラインが新たに貢献しうる機会を常に模索したいと考えています。
- 当社はTCFD提言に基づくシナリオ分析の実施とリスク・機会の把握を通して、気候変動に伴うリスク・機会への対応策を策定し、気候変動における当社ビジネスのレジリエンス向上に努めてまいります。
リスク管理
- リスクを識別・評価し、管理するプロセスは以下のとおりです。
- 推進責任者会議が、四半期ごとにリスク及び機会管理にあたって発生が予測される時期・確率、影響範囲等をESG推進会議に報告します。
- ESG推進会議が、報告内容について全社レベルのリスク及び機会として集約のうえ、ESG委員会に報告します。
- ESG委員会は全社レベルのリスク・機会の影響を評価するとともに都度見直しし、ESG推進会議より取締役会に答申/報告します。
- 答申/報告された内容は次の四半期KPIに反映し、それをもとに関係部門が対応してリスクを管理します。
- 取締役会ではESG推進会議より答申/報告された内容を基に、企業としての意思決定の際に気候変動が当社や社会に及ぼす影響を考慮することで、気候変動関連リスクを当社の総合的リスク管理プロセスに統合しています。
指標と目標
- CO2排出量、水質汚濁負荷量、化学物質の管理、廃棄物排出量などに係る環境パフォーマンス指標を把握しています。製造部門においてはこれらの指標に関する改善課題について第三者機関の検証を毎年受けています。
スコープ1、2排出量(単位:t-CO2)
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2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
スコープ1 |
7,443 |
7,209 |
6,687 |
スコープ2 |
5,771 |
5,042 |
4,093 |
スコープ1排出量は、自社による直接排出量を算定しており、ガソリン、灯油、軽油、重油、LPG、都市ガス、冷水温水等の使用に伴うCO2排出量が含まれます。
- スコープ1、2排出量については、日本製薬団体連合会が掲げる「2030年度のCO2排出量を2013年度比で46%削減(研究所・工場・オフィス・営業車両)する目標」を当社の削減目標のベンチマークとしています。
- 省エネルギーへの取り組みについては、エネルギー使用にかかる原単位を指標に毎年1%以上(過去5年度間平均原単位変化率で1%以上減)改善を目標として省エネルギー施策を実行します。なお、2020年度における過去5年度間の平均原単位変化率は3.7%減でした。