DXへの取り組み
現在、事業環境の変化は激しく、世間をとり巻くIT環境はデータの利活用が進み、意思決定の質とスピードが加速度的に向上しています。また、将来起こりうる労働人口の減少に対して業務の効率化は必須であり、IT基盤の強化や業務プロセスの改善を図る動きもすでに始まっています。とりわけ医薬品業界におけるDX化は急速に進展しており、ビッグデータを用いたデータドリブン経営やAI技術を活用したプロセスの効率化により、創薬・開発・生産・物流から販売に至るまでのバリューチェーンにおいて業務の効率化が実現されています。
私たちは、DX化推進により業務の効率化を図ることで経営の意思決定を早め、生命関連企業として継続的に医薬品や製品などを生み出し、社会に貢献していきます。将来はあすか製薬ホールディングスグループとして創薬をはじめ、開発・生産・販売などのすべてのプロセスにおいて、DXで業務効率化をさらに図り、コア業務に集中にすることで持続的成長を目指します。
DX化のために、以下の施策を強化します。
- DX推進担当者の育成
DX化を推進するための専門知識を持つ人材を育成し、各部門のDX化がスムーズに進むようサポートします。
- ITリテラシー・ITスキルの向上
全従業員のITリテラシー・ITスキルを向上させるための研修やトレーニングを実施し、DX化の取り組みを全社に浸透させます。
- セキュリティの強化
デジタル技術の活用にともなうサイバーセキュリティリスクの増大に対応するため、データ保護とプライバシー確保を徹底し、安全なIT基盤を構築します。
これら3つの施策を中心に2025年をDX元年として推進していきます。
DX戦略
ビジョン
あすか製薬ホールディングスグループのビジョンは、「データとデジタル技術を駆使して従来の業務プロセスを見直し、新たな価値を創造することで、医薬品提供のバリューチェーンを強固にし、人々の健康と社会に貢献すること」です。従業員一人ひとりがITリテラシー・ITスキル持ち、創造力と革新力を最大限に発揮できる環境を整え、共に未来への扉を切り拓きます。DX化の取り組みを通じて、スペシャリティファーマを基盤とするトータルヘルスケアカンパニーを目指します。
これまでの取り組み
あすか製薬ホールディングスグループは2018年に企業の基幹システムを一新し、会計・人事・販売・生産といった従来分散していたシステムを統合しました。これによりデータ管理が一元化され、効率的な運営が可能になりました。さらに、EDR(Endpoint Detection and Response)の導入やSSL-VPNの全社展開を通じて、グローバルな業務展開や在宅勤務をサポートするネットワーク強化しました。
- 2020年
働き方改革に対応するためモバイルPCやスマートフォンを全従業員に支給し、クラウドベースWeb会議ツール導入、ネットワーク回線増強などを行いました。
- 2022年
BI(Business Intelligence)ツールやRPAツールの導入・検証、ペーパーレス化を本格的にスタートさせました。
- 2023年
Microsoft 365、Microsoft Copilotを導入し、DX人材を育成することで、DX基盤を構築しました。
また、創薬や論文検索の検証などにAIの活用を開始し、全社的なDX化の準備を進めました。
いわき工場ではスマートファクトリーの検討を開始し、製造現場でのDX化を目指しています。
今後、これらの基盤を活用してDX化を推進し、競争力の強化を図ります。
戦略
あすか製薬ホールディングスグループでは、以下の4つの柱(戦略)を中心にDX化を進めていきます。
1.人材の育成
あすか製薬ホールディングスグループ全社のDX化に向けて、「DX推進担当者」および「DX人材」の育成を本格的に始動しました。DX人材とDX推進担当者が連携し、全社的な活動を推進します。
DX推進担当者の育成
多部門が関与する複雑な課題を可視化し解決へ導くためDX推進担当者を選出・育成します。これまでの常識や固定観念にとらわれず現場自らが新たな視点で業務プロセスを革新し、積極的に変革を推進できる組織基盤を構築します。
さらに、毎年新たなDX推進担当者を選出・育成し、各部門に推進者を増やすことで組織全体でDX化を推進します。
DX人材の育成
全従業員のITリテラシー・ITスキルを向上させるための教育や制度を整備し、これらを習得・活用することでDX人材として活動します。
2.RPAの活用
RPA(Robotic Process Automation)を全社に展開し、定型業務の自動化を加速させることで生産性の向上を実現します。自動化により削減した時間を新たなコア業務の創出や継続的な業務改善に再配分するとともに、従来の業務のボトルネックを解消することで、より効率的に付加価値の高い成果を最大限に引き出します。さらに、ヒューマンエラーの削減によって業務品質を向上させ、安定した運用品質を確保します。
3.AI技術の活用
AI(Artificial Intelligence)技術を積極的に導入し、業務の効率化と最適化を実現します。膨大なデータを用いた調査・解析に多くの時間を費やしていた従来の業務をAIに任せることで、生産性向上を実現します。
4.現場主体の業務改善・開発
現場主体の業務改善と開発を推進するため、各部門で開発可能なプラットフォームを展開しました。これにより、現場主体の業務改善・ツール開発を迅速に行える環境が整い、従来の手作業や非効率なプロセスを適宜見直すことが可能となり、生産性向上が期待できます。
推進体制
体制と役割
DX化推進の統括として、2024年にグループ経営管理本部長を「DX推進担当」執行役員として任命し、戦略および実行計画を策定・推進するための「DX推進事務局」をIT部門内に設置しました。取り組みはDX担当執行役員を通じて経営会議などで報告・確認され、遂行されます。
また、各部門から選出した人員を「部門DX推進担当者」として育成し、それぞれが協力しあう「DX推進委員会」を設立して、全社的な活動を継続的に推進していきます。
DX人材の育成
DXを成功させるには、強力な推進者(DX推進担当者)とそれを支える社員(DX人材)の協力が不可欠です。従業員一人ひとりがDXを理解し「自分ごと」としてとらえ行動するとともに、DX推進担当者と協力して課題解決に取り組むことを目指します。全従業員のITリテラシー・ITスキル向上のための育成環境(DX人材育成プログラム)を整え、習熟・成長度を可視化することで従業員の意欲を高め、DX人材の育成と促進を図ります。また、有効なIT資格の取得を支援する制度も整備します。
2030年までにDX推進担当者の割合を全従業員の20%、DX人材を全従業員の80%確保を目標として育成します。
取り組み事例
DX推進担当者育成プログラム
あすか製薬ホールディングスグループでは各部門から「DX推進担当者」を選出し、プログラムを通じてDX化に必要な知識と経験を積んでいます。2024年3月より活動を開始し、約1年をかけて実施します。本プログラムは、自部門のみならず部門間の課題にも注目し、会社全体のDX化に取り組むDX人材を巻き込み、支援するための教育プログラムです。毎年新たにDX推進担当者を選出・育成することで、DX文化を構築・醸成していきます。
サイバーセキュリティへの取り組み
サイバーセキュリティへの対応
あすか製薬ホールディングスグループは、不正アクセス、紛失、漏えい、改竄、破壊などのリスクを予防・対策し、万が一被害が発生した場合には、迅速かつ適切に是正措置を講じます。また、コンピュータネットワークの通信の信頼性を検証するプロセスを徹底し、通信の安全性を確保しています。さらに、ランサムウェア攻撃や生成AIを利用した新たなサイバー攻撃への対応として、最新のセキュリティツールを導入し、24時間体制で監視を行っています。
OT(Operational Technology)セキュリティへの対応
製造現場のデジタル化が進むなか、あすか製薬ホールディングスグループでは、製造設備やIoTデバイスを対象としたOTセキュリティを強化し、外部からの攻撃リスクを最小化するため、ネットワークの分離や多層防御を行い、安全性を確保しています。また、医薬品業界の規制や基準を遵守し、それらに基づいた高度なセキュリティ対策を実施することで、高品質の維持と安定供給に貢献しています。
サイバーセキュリティ教育
あすか製薬ホールディングスグループは、すべての役員・従業員を対象に、サイバーセキュリティの脅威や対策の重要性に関する教育を徹底しています。具体的な取り組みとして、フィッシング攻撃への耐性を高める訓練や、マルウェア感染時の対処方法に関する学習、サイバー攻撃のトレンドや昨今のセキュリティインシデント事例を共有することで、セキュリティ意識の向上に努めています。