TNFD提言に基づく情報開示

TNFD提言への対応

当社グループは、事業活動に伴う環境への負荷が生物多様性に影響を及ぼしていることを認識し、TNFD提言に賛同するとともに「TNFDフォーラム※1」に参画致しました。 そのうえで、生物多様性の維持・保全のため、省資源や気候変動対策など、さまざまな環境負荷の低減に努めています。また、動物用医薬品事業と動物用飼料添加物事業の展開を通じて、人と動物が共生できる社会づくりにも貢献していきます。まずは、提言への対応に向けて、以下のステップを踏んでいます。

  1. 社内意識の向上と方向性の共有
    2025年4月には、全社員を対象に「生物多様性」に関するオリジナル研修動画を配信し、社員の意識高揚と方向性の共有を図っています。
  2. 自然関連課題の評価・管理
    TNFDが開発した評価手法である「LEAPアプローチ(Locate, Evaluate, Assess, Prepare)※2」を用いた分析により、自然関連の機会とリスクを特定し、財務への影響を評価するプロセスを進行。
  3. 事業との関連性
    特に動物用医薬品事業と動物用飼料添加物事業を通じて、人と動物が共生できる社会づくりに貢献。事業と自然との関連性を強く認識しています。

ガバナンス

当社グループは、ステークホルダーエンゲージメントのひとつとして、環境経営推進はもとより、それに先立つ生物多様性保全を継続的に取り組むべき課題としてとらえ、係るバリューチェーン(研究・開発・調達・製造・在庫管理・流通・販売・販売・医療機関による処方・服用)全体を含めた事業活動における人権の尊重を推し進めることを定めた「人権ポリシー」を制定し、人権の尊重の大切さやコンプライアンスについての理解深更のための研修を実施し、社員の尊厳を守りながら一人ひとりが最大限に力を発揮し合える職場づくりを進めています。また、健全で良好な労使関係のために、労働条件・労働環境に係る諸課題をはじめ、次世代支援に係る働き方の諸課題等、多くの労使協議の場を持ち、対応することで社員の権利を保証し、健全で良好な労使関係を維持・推進しています。
また、当社はTCFD※3同様、ESG推進のもとTNFDに対する取り組みを進めてまいります。TCFD提言に基づく情報開示については下記を参照ください。
※「TCFD提言に基づく情報開示」:https://www.aska-pharma-hd.co.jp/csr/sustainability/tcfd.html

戦略

当社グループは、自然関連の依存、影響、リスク、機会が事業戦略および財務計画に与える潜在的な影響を評価し、経営戦略に統合しています。

識別された自然関連リスクと機会の概要

当社グループは、LEAPアプローチに基づき、当社事業のバリューチェーン全体で、主に以下の自然関連リスクと機会を識別しました。また、課題の特定においては依存と影響をベースに(ダブルマテリアリティ)ENCORE※4を用いて、当社グループのバリューチェーン全体における重要な自然課題を評価したうえでヒートマップを作成しました。

A. バリューチェーンにおける依存と影響評価

バリューチェーンにおける依存と影響評価

B. バリューチェーンにおける重要度特定

バリューチェーンにおける重要度特定

C. LEAPアプローチ

Locate(発見する)
事業拠点 いわき工場および湘南アイパークにおいて、水資源の利用状況や周辺生態系の特徴を把握しています。両拠点ともに、水ストレスが比較的高いと評価される地域に立地するため、水リスク評価を実施しています。
サプライチェーン 医薬品の原薬等の調達において、生物多様性が豊かな地域や、森林破壊・水質汚染のリスクがある地域からの調達を特定しています。動物用医薬品事業における飼料添加物の原材料も対象としています。
Evaluate(診断する)
依存 事業活動において、清浄な水資源や安定した生態系サービス(例:土壌の健全性、生物資源)に依存していることを診断しました。
影響 生産過程での水使用と排水、廃棄物処理、および原材料調達における土地利用の変化や生態系への影響を評価しました。
Assess(評価する)
リスク 物理的リスク 水ストレスの増大による操業中断リスク、生態系の劣化による原材料供給の不安定化リスク
移行リスク 自然関連の規制強化(例:水質基準の厳格化、生態系保護区の拡大)によるコスト増大、消費者の環境意識向上による製品選好の変化
レピュテーションリスク 生物多様性への負の影響による企業イメージ低下
機会 新製品・サービス開発 生態系に配慮した医薬品開発や、環境負荷の低い生産プロセスの導入
効率改善 水使用量の削減、廃棄物リサイクルによるコスト削減
ブランド価値向上 自然環境保全への貢献を通じた企業価値向上
事業戦略への影響

特定された自然関連のリスクと機会は、当社の事業モデルと財務計画に以下の影響を与える可能性があります。

研究開発 生態系への影響が少ない新規医薬品候補物質の探索や、持続可能な製造プロセス技術の研究開発に優先的に投資を行います。
生産 水ストレス地域における工場では、水循環システムの導入や節水設備の強化を戦略的に進め、操業の安定性を確保します。
調達 生物多様性保全に配慮したサプライヤーとの取引を優先し、持続可能な原材料調達の基準を強化します。これにより、サプライチェーンのレジリエンスを高め、将来的な供給途絶リスクを低減します。
財務計画 自然関連のリスク対応策(例:環境技術投資、サプライチェーン監査)に必要な資金を予算に組み込み、機会(例:環境配慮型製品による売上増)を財務目標に反映させることを検討しています。
事業レジリエンス

自然関連のリスクと機会が、当社の短期、中期、長期のレジリエンスに与える影響は以下の通りです。

短期(~3年) 水不足や局所的な環境規制強化による一時的な操業中断リスクを、節水対策や排水処理の強化で最小限に抑えます。
中期(~10年) サプライチェーンにおける自然資本の劣化リスクに対し、持続可能な調達方針の導入と代替供給源の確保で対応し、安定的な原材料供給を維持します。
長期(10年超) 広範な生態系サービスの喪失による社会全体の変化に対応するため、研究開発を通じて環境に優しい新技術・製品を創出し、社会変革をリードすることで、長期的な事業成長の基盤を築きます。

 

※1 TNFDフォーラム:
自然に関する企業のリスク管理と開示の枠組みを構築するために2021年6月に設立された国際組織、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)での議論を、専門知識を提供するステークホルダーとしてサポートする国際組織

※2 LEAPアプローチ:
自然関連課題を評価・管理するために、TNFDが開発した評価手法。
Scoping/Locate/Evaluate/Assess/Prepareの4つのステップからなり、このアプローチを用いた分析を行うことにより、TNFD開示提言で開示すべき内容の多くをカバー可能

※3 TCFD:
G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び、金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、マイケル・ブルームバーグ氏を委員長として設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」

※4 ENCORE:
自然関連リスクへのエクスポージャー(曝露)を調査し、自然への依存とインパクトを理解するために役立つオンラインツール

※2025年10月時点におけるTNFDに関する検討結果を示しました。今後、リスクとインパクトの管理/指標と目標他、検討を推し進め、随時開示してまいります。

生物多様性の取り組み

当社グループの生物多様性の取り組みは、こちらをご覧ください。

生物多様性